2013年10月7日

そもそもレジリエンスとは何か-2- 平賀 暁マーシュブローカージャパン会長

東日本大震災における企業リスクとドミノ効果
マーシュブローカージャパンの平賀暁代表取締役会長は、国家のレジリエンス向上のために、リスク発生とその連鎖のシナリオづくり、対応するための体制づくり、リーダーの意識向上の重要性を指摘した。9月30日の掲載に引き続き、第2回目となる今回は、具体的なシナリオづくりやレジリエンス向上のための考え方などについて聞いた。

2013年10月2日

巨大地震に備えた国土強靱化 小宮一仁千葉工大学長

謙虚さと力学的な自然研究

地盤、基礎には費用をかける

--国内の地盤特性はどのようなものですか


 「日本人は、先進国の中でも非常に自然災害の発生しやすい地盤の上に暮らしています。火山が風雨によって浸食され、山から崩れた岩や石は川に流されながら削られて土砂となり、粒径(粒の大きさ)を小さくしながら川を下り、下流に堆積して平地をつくります。また、さらに細かい土は海に流れ込み海底に降り積もります。このようにして土が堆積した地盤、あるいは海面の低下によって地上に現れたかつての海底地盤が、今日本人の多くが暮らす河口の平野です。この平野に日本の多くの機能が集中していますが、土砂が堆積してできた地盤は軟弱であり、地盤沈下や液状化等が発生しやすくなっています。またヨーロッパ等に比べ地質年代が若い日本の国土は、今なお急峻な山地が大部分を占め、風雨による浸食作用が進んでいるため、土砂崩れや地滑りが多く発生します。このような地盤の上に、私たち日本人は暮らしているのです」

--土砂崩れや地震等に対する地盤の強さ
 「地盤の強さは、地盤を構成する土の力学的な強度の大小で決まります。そして土の強度は、土粒子同士の結びつきの強さによって決まります。土粒子が離れたりずれたりすると土が壊れ、地盤崩壊や液状化が発生します。より地盤を強くするためには、土粒子同士の結びつきを強くする必要があります。例えば、(1)土粒子同士に垂直方向に加わる力を大きくして摩擦抵抗を増す(2)土粒子の配列を密にして噛み合わせを強くする等があります。また、(3)薬液注入等の地盤改良材を利用し、土粒子同士を接着させることもできます。さらに、(4)地下水位を下げるなどにより土粒子同士の結びつきを強くすることも可能です」
 「とはいっても、土は土粒子(固体)と間隙水(液体)と間隙空気(気体)が混ざってできた混合体(三相混合体)であるため、その挙動は複雑です。このため土の変形や破壊の予測は非常に難しく、未だ完全には解明できていません。そこで、現在も土の力学的挙動の解明のための研究が進められているのはもちろんのこと、先人たちの努力によって土の挙動の不確定性を考慮し、安全率を巧みに取り込んだ設計法が開発され実用化されています。そして、実際、この設計法を用いて大量の構造物がつくられ、その機能を現在に至るまで問題なく果たしています。しかし、毎年、大雨や大規模地震等で斜面崩壊等が発生し犠牲になる方たちがいることも事実です。今でもこのような不幸な災害があることを考えると、大自然に対して人間の力は微力であるということを忘れず、地盤の防災に対する技術を先人たちから受け継ぎ、さらに研究・開発を続けて行くことが大切です」

--地盤に応じた構造物の構築について
 「地盤の強さは場所によって違います。ほんの数m離れた個所でも強度が大きく違う場合があります。そのため、構造物を構築する際には、まず地盤を知ること、つまり地盤調査が重要となってきます。確かに、調査には費用がかかりますが、地震等によって被害を受けた後に補修や地盤改良にかかる費用を考えると節約する部分ではないと思います。人の健康維持のためにさまざまな検査が行われるのと同じことです。科学的に物事を進めるためには調査は欠かせません」
 「地盤の調査にはさまざまな方法がありますが、今、地盤工学会や自治体等で、地盤マップを作成し情報を公開していますので、そのデータをもとに地盤のことを知るのも一つの手段と言えます。データがない地盤や、データから問題が生じることが予想される地盤に対しては、詳細な調査が必要でしょう。そして、調査したデータを基にして必要であれば適切な対策をし、地盤に合った適切な構造物を設計し、工法を選択することが重要であると言えるでしょう」
 「地盤沈下、液状化や斜面崩壊といった災害を防止するために大切なことは、『地盤そして基礎に費用をかける』ことだと思います。土台、基礎をしっかりさせることで、減災は可能だと考えます。そのためにも、今後も土そして地盤に対する科学的研究、投資が必要となってくると思います。自然に対して謙虚に、力学的に突き詰めていく努力を欠かしてはいけません」

--日本の技術を世界に
 「国土が若く、地震や風水害が非常に多い日本で培われた防災技術は、先進国では類を見ないほど進んでいます。このトップクラスとも言える技術を、日本と同じく軟弱な地盤に人々が暮らすアジアやアフリカの国々に輸出すればいいのではないでしょうか。『地盤を強くして強靱な世界をつくる』を目標に掲げれば、対外的な貢献になりますし、新しい科学技術の構築にもなり若い人たちの夢にもつながると思います」
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)